芦田愛菜と共演中…安達祐実の子役時代は［

一条鲈鱼F

愛くるしい表情でインタビューに答える子役時代の安達祐実＝９４年１月
　女優安達祐実（３２）が、日本テレビドラマ「明日、ママがいない」（水曜午後１０時）に７話から出演し、芦田愛菜10+ 件（９）との新旧子役スターの共演が実現している。自身の子役時代についてブログで「客観的に思い出せませんが、周りの方に迷惑をかけたこともあったんだろうなあ」と書いているが、こちらははっきり覚えている。人間力あふれる、いい子でした。

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　子役時代の安達祐実さんを取材したのは、彼女が小学６年生だった９２年１月。「ぐが大きい」で一躍人気者になったカレーのＣＭから２年後で、ドラマ「家なき子」（日本テレビ）の少し前だ。史上最年少でラップ歌手に挑戦という話題でのインタビューだった。

　ベレー帽と白いコートがよく似合って、文字通り、お人形さんのようだった。大きな目できちんと相手を見て話をし、けらけら屈託なく笑う。歌詞にあった「初恋」にはピンときていない感じで「だって男の子って、授業中ふざけてたり身なりがだらしなかったりするんだもん。ちょっといただけません」。小学生とおばさんが合体したような話しぶりがかわいかった。

　子役の演技力にすっかりはめられた気もする取材後、祐実ちゃんの人柄がにじむ一幕があった。こちらの事情だが、ギックリ腰が治ったばかり。荷物をまとめながらレコード会社の担当者とそんな話をしていたら、見送ってくれた祐実ちゃんがペコリとお辞儀してこう言った。

　「お大事に」。

　ドキッとした。とっさのひと言にその人が出る。こういう時には「お大事に」と言うものだと、きちんと教わっている優しい子だった。たまげたこちらはお礼を言うのがやっとだったが、１２歳の人間力に圧倒されてしまった。

　そんな彼女も３２歳。ブログでは「当時の私がどんな風に人と接していたのか、どんな風に現場にいたのかは客観的に思い出すことができませんが、きっと周りの方に迷惑をかけたこともあったんだろうなあと今更ながら反省したり」と振り返っている。スター子役の先輩として「明日ママ」で共演している芦田愛菜10+ 件ちゃんについて「仕事はきっちりやるけれど、健やかに子供らしく育っている人です。そのことをしてもうれしく思います」と書いているが、当時の安達祐実ちゃんに対する私の印象もこれと同じだ。

　実際、「明日ママ」では新旧の子役スターががっぷり組んで、ずしりとくる見ごたえを展開している。安達は、事故で娘を亡くし、現実を受け入れられない母親の役どころ。愛菜ちゃんを実の娘と思い込んでおり、２人の魂のぶつかり合いが最終回に向けての見どころとなる。

　ドラマは１話から表現でつまずき、火だるま状態を経て視聴率的にもなんとなくしぼんでしまった。こんなドタバタがなければ、この２人の共演ももう少し話題になったのにと悔やまれる。特定の病院を揶揄（やゆ）するような表現は反発を受けて当然だけれど、胸を揺さぶる子役陣の熱演がはじき飛ばされてしまったのは残念だった。

　安達は「娘と同じ年頃の子役さんたちがとてもしっかり仕事をしている姿を見て、感心しっぱなし」とも書いている。逆風でも自分たちの仕事をする子役たちへのまなざしがチャーミングだし、女優としてきちんと年輪を刻んできたことにも感銘を受ける。こちらから見ても「感心しっぱなし」なのである。

【梅田恵子】（ニッカンスポーツ・コム／芸能記者コラム「梅ちゃんねる」）





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